2011/1/26 (水)

くじけないで  柴田トヨ 著

Filed under: ホッとする詩 — hayakawa @ 10:35:14

h23124.jpg風と陽射しと私

 

風が 

硝子戸を叩くので

中に入れてあげた

そしたら

陽射しまで入って来て

三人で おしゃべり

 

おばあちゃん

独りで寂しくないかい?

風と陽射しが聞くから

人間 所詮は独りよ

私は答えた

 

がんばらずに

気楽にいくのがいいね

 

みんなで笑いあった

昼下がり

くじけないで  柴田トヨ 著

Filed under: ホッとする詩 — hayakawa @ 9:43:42

h23124.jpg あなたに  Ⅱ

 

追いかけて 

愛した人を

苦しめるより

忘れる勇気を

持つことが

大切よ

 

後になると

それがよくわかるの

 

あなたのこと

心配してくれている

人がいる

あなた気づかないだけ 

 

2011/1/24 (月)

くじけなうで  柴田トヨ 著

Filed under: ホッとする詩 — hayakawa @ 16:48:58

くじけないで母  Ⅰ  柴田トヨ

 

亡くなった母と同じ

九十二歳をむかえた今

母のことを思う

 

老人ホームに

母を訪ねるたび

その帰りは辛かった

 

私をいつまでも見送る

母 

どんよりした空

風にゆれるコスモス

今もはっきりと覚えて

いる 

 

母  Ⅱ

 

母の後を

風車を かざしながら

追いかけて行く

陽は暖かかった

 

 振り向く母の笑顔に

安堵しながら

早く大人になって

孝行したい

そう思ったものだ

 

母の歳をとうに越して

今 私は

初夏の風に

吹かれている

 

若い母の声が聞こえる

 

 

 

2011/1/18 (火)

こころ 1月の詩   谷川 俊太郎

Filed under: ホッとする詩 — hayakawa @ 9:07:31

手と心   谷川 俊太郎 (H23.1.18 朝日新聞より)

 

手と手を重ねる

手を膝に置く

手を肩にまわす

手で頬に触れる

手が背を撫でる

手と心は仲がいい

 

手がまさぐる

手は焦る

手が間違える

手は迷走し始めて

手がひどく叩かれる

手はときに早すぎる

心よりも

 

 

 

2011/1/17 (月)

天声人語から

Filed under: ホッとする詩 — hayakawa @ 17:23:34

かつて小説に連載された井上靖の小説『氷壁』は、世に登山ブームを巻き起こした。読まれている方もおられようが、主人公の勤め先の上司が、なかなか味わい深い。穂高岳の氷壁をめざす部下を案じて言う

『登山家というものも、いい加減なところでやめないと、いつかは、命を棄てる事になると思うのだ。危険な場所へ自分をさらすんだからね。確率の上から言ったって、そういうことになる』。 時は流れて、今なら『危険な場所』の最たるものは8千メートルを超す山々だろう

酸素は平地の3分の一しか内。 『死の地帯』と呼ばれ、自然が人間を拒否している場所だ。 世界に8千メートル峰は14座あるが、すべてを登った日本人はまだいない。 10座に挑んでいた名古屋の田部治さん(49)が先月、ヒマラヤで遭難した。

登山に限らず、知名度と実力とがイコールでないことはままある。 田辺さんは逆に、広く知られた人ではなかったが実力は指折りだった。 世界的な難峰や難ルートにいくつも足跡を残してきた。

謙虚な人手もあった。6年前、やはり10座に、やはり49歳で落命した群馬の名塚秀二さんの『偲ぶ会』で出会ったことがある。『登山には拍手も喝采もない。そこがいいんです』と言っていたのが印象深い。淡々とひたむきだったその姿が、大雪崩に消えた。

14座の完登者は世界で20余人を数える。 日本では12座の竹内洋岳さん(39)が最も近い。 一流の登山家ほど『命知らず』の行動から遠いものだ。 『氷壁』の上司の老婆心は胸に封じつつ、だれであれ無事の達成を祈る。

 

PS この記事を読んだ後、『氷壁』を読み返しました。最近では山岳小説 谷 甲州著 『加藤文太郎伝 単独行者』を読み終えました